一人っ子しか産めない社会ってどうなんでしょう。

※この記事はSeiZeeさんからの転載記事です。

10月の終わり、衝撃的なニュースが飛び込んできました。中国で1970年代から続いてきた「一人っ子政策」の廃止が決まったのです。

「一人っ子政策」といえば、急増する人口を抑えるため、一人っ子の家庭を優遇し、第二子を持った家庭にはさまざまな不利益を生じさせるという政策です。

人口抑制にはつながりましたが、同時に少子高齢化と労働人口の減少に拍車をかけることにもなりました。2013年には「夫婦どちらかが一人っ子の場合は第二子の出産を認める」との緩和に踏み切りましたが、それから2年後の今年10月、廃止せざるを得なくなった形です。

中国は、人口抑制を取り払うことで、今後5年間で経済成長に占める消費の割合を大幅に高めるねらいです。政策廃止と同時に、国民一人当たりの所得について、2020年までに2010年比で倍増させるという目標をあらためて示しました。

第二子を認めても消費は増えない

僕は、政策を廃止しても消費の大幅な増加は見込めないと思います。

中国の経済成長のメインは、輸出と投資です。低賃金・低コストを強みに輸出型の製造業を発展させ、政府主導のインフラ整備によって不動産や土地開発などに投資を重ねてきました。

しかし、経済成長とともに安価な労働力の確保は難しくなり、過剰な投資によって各地で人のいない街(ゴーストタウン)が増え、都市部と農村部の所得格差は広がるばかりです。

なにより深刻なのは「第二子がいる」つまり「二人の子どもを育てる」という家庭環境に対するモチベーションの低下です。

留学生の友人に話を聞いたところ、中国都市部の家庭ではそもそも「子どもが二人いる」ということにマイナスイメージがつきまとっているそうです。

現在家庭を持っている30~40代の人々はまさに「一人っ子政策」の下で生まれた人々で、もちろん一人っ子が多数です。第二子を持つことは国家に非協力的であることとみなされ、周りから白い目を向けられることが多いそうです。

また、高齢者向けの保険制度の課題や、政策から逃れようとして増大した無戸籍児(黒孩子)の問題も残ったままです。そもそも子どもを産み育てることのモチベーションが低いままでは、政策を撤廃しても消費増は望めません。

「一人っ子」廃止に見る、日本との共通点

僕の考える中国の少子化対策の課題は、政策自体が人任せということです。

中国の政策を見るかぎりでは「一人っ子政策を廃止するから、みんなたくさん子どもを産んでね」と、まるで国民に丸投げするかのような印象を受けます。

少子化に歯止めを掛けるために多産を目指すのは間違っていませんが、その前に子どもを産み育てやすい環境の整備がまず必要です。

日本の政策を見ても、印象は同じです。

日本の抱える最大の社会問題は「少子高齢化」でしょう。出生率は年々低下し、2050年には国内人口に占める高齢者の割合が3割を越えると推計されています。

日本の将来推計人口(総務省 平成24年版 情報通信白書より)
日本の将来推計人口(総務省 平成24年版 情報通信白書より)

男性側の育児参加や、育児休業後の女性の就業支援など、子どもを育てやすい環境整備は徐々に進んでいます。しかし、保育施設に入れない待機児童や学校教育の無償化など、課題はいまだ山積です。

先日、有名人どうしの結婚のニュースを受けて、閣僚の一人が「子どもを産んで国家に貢献してくれたら」と発言し、問題を指摘される一幕がありました。子どもを産むことは確かに国家に貢献することになるかもしれません。しかし、出産と育児に関わる問題をどう解決していくかは、国家より先に、個人に密着した切実な課題ではないでしょうか。

もちろん、少子高齢化の打開は子どもを産み育てやすい社会を作るために不可欠です。しかし、僕には日本と中国の政策はどちらも、解決を急ぐあまり、国民任せになっているように感じます。

紋切り型の政策より、具体的な家庭環境や夫婦関係を見つめたうえで政策を練ることが、まずは必要ではないでしょうか。

転載元

一人っ子しか産めない社会ってどうなんでしょう。(SeiZee) – http://seizee.jp/politics/2120

この記事を書いた人

Tobira Official

「記事を読んだ学生の人生に、新しいTobiraが開けますように。」 そんな想いで学生ライターたちが記事を書いています。